【ホビーから産業用途へ いまドローンは安全性が問われている】
2017年現在、皆さまもご存知の通りドローン市場は成長期にあり、今後も多種多様な用途での運用が見込まれています。Door to Doorの宅配サービス、プラント監視や橋脚メンテナンス、災害支援など様々、どのような市場が立ち上がって我々の暮らしを変えて行くのか楽しみです。市場規模はセグメントごとに億円単位の試算も多く、期待が膨らみます。
ドローン市場が盛り上がりを見せる一方、ドローンの運用については課題が山積みといえます。実際に日本国内でも発生しましたが、悪意ある人によってテロ行為に使用されたり、落下事故やプロペラむき出しの高速回転による怪我の危険性などが懸念されます。
そもそもラジコンなどホビー用途で楽しまれていたドローンですが、仕事をこなす産業用のドローンとしての活躍が見込まれる現在、信頼性や安全性といった面で、まだまだ技術的に期待に追いついていないというのが現状です。こんなことができたらな、こういう風に使えればよいなというタラレバだけで、単なるブームに終わってしまうのではと思っている人も少なくありません。
我々は安心安全なドローン市場を健全に立ち上げるべく取り組んでゆく考えです。これまで、ドローンについてのメカ設計、制御設計、自律航行制御アルゴリズム開発、航行管理(航空管制)立案などの実績がありますので、実例を挙げながらどうしたら安全安心なドローンをつくることができるのか、ドローン市場を立ち上げることができるのか、提起していきたいと思います。
【安心安全なドローンをつくるために必要なこと】
今回は、安心安全なドローンをつくるには何が必要か、要素に振り分けまとめてみました。
実際にドローンを運用する場面において、当てはまる要素ごとにどのような影響を受けるのか一つ一つ予測し課題を抽出し、解決していくことが必要です。
つまり、実運用に向けた必要な条件(性能等)の抽出を行っていきます。
<課題抽出のための5要素> ※実際にはもっと細分化していく必要があります。
①人 間:善人(習熟度合い、トレーニング) 悪人(反社会思想、テロ思想など)
②環 境:海、山、平地、市街地⇒高度、塵、水、風速、温度(高温、低温)
③機 体:既存機体性能の把握(機体構造(構成部品含む)、組立方法、制御方法
通信方法など
④付帯装置:既存機体に付帯する治具(搬送用、農薬散布機器、撮像装置など)
⑤保守管理:管理体制(稼働ごとの内容、定期的実施内容(分解、清掃、交換))
次回以降は、敢えて難易度の高い要素になりますが、『悪意ある人間がドローンを使用した場合』にどのようなことが起こり、それぞれの事象に対してどのように対処していくか整理しながら掲載を進めて参ります。
ドローンを使用したテロについて対策が必要なことはドローン市場創出に係わる方々ならば既にご承知のはずです。難易度の高い課題ですが、2020年東京オリンピック、パラリンピックの直前になってから騒ぐのではなく、今から安全安心なドローン市場創出という観点の中で取り組んでおけば後手になることはないと思います。