Vol.4 テロドローンを捕獲する方法

  • 2017.2.26

【テロドローンの捕獲は時間が勝負】

捕獲対象のドローンかどうか判断する方法については、前回のブログの内容をご参考頂くとして、その判断までに要する“時間“について考えてみます。
ドローンの監視エリア内であれば、地上から離陸する時点で瞬時に発見できます。しかし多くは監視エリア外からの飛来であり、速度を仮に40km/hとしてみると1秒間に約11m、2分で1.2kmを超えるスピードで航行してきます。
テロ対策には避難、捕獲システム作動といった充分な時間的余裕が必要です。監視エリア外であってもすばやくテロドローンを発見しなくてはなりません。
監視エリア内においても、突然、自動車内など閉鎖された空間からドローンが飛び立つことも想定されます。とにかく瞬時に発見、素早い対処が求められるのです。飛行中のテロドローンを出来るだけ早く捕獲するという発想も必要ですが、目の前に現れた瞬間に捕獲するというシステムを構築する方が現実的ではないでしょうか。

【ドローンをドローンで捕まえられる?】
テロドローンの捕獲には、自動で発見し自動で捕獲システムが作動してドローンを捕獲するというのは一番理想的です。
しかしこれは非常に都合のよい想定になります。前述の通り通常テロドローンは監視システムを回避するのが常です。
(だからと言って監視システムが必要ないということではありません。あるからこそ相手側の行動が限定される面もあります。)
突然現れたテロドローンを一般人が発見したらどうなるでしょうか?警備員などが近くいて、避難をするよう言われても逆に混乱を巻き起こすかもしれません。テロドローン対策には、発見したら即座に捕獲できるシステムがあることがベストです。町中にある消火器やAEDのように、簡単に作動させることができるシステムです。
発見から捕獲システム作動まで5秒、実捕獲まで+3秒程度としてみると、捕獲出来る手法は絞られてきます。ドローンをドローンで捕まえる等の方法が提案されていますが、常に警備ドローンが飛行して見回りしているならよいですが、本当にテロドローンを発見し即座に接近して捕獲網などを作動させることができるのでしょうか。
相手は時速40km/hで飛び回っています。しかも無風などの条件ではありません。風の強い環境下では非常に難しい制御を行うことになります。産業用ドローンであればまだしもホビーユースのジャイロ、風速計算もされていいない、重心位置も定かでない、ソフトだけで何とかなるという考えで製造されているドローンも出回っているのです。そうしたドローンをドローンで捕まえることはできるでしょうか?

【ドローン規格はソフトの前にハード】
経産省が衝突防止や自動管制システムなど国際規格づくりに乗り出して2025年を目途に国際標準化機構(ISO)の承認を目指すと発表していますが、非常に良いことだと思います。しかしソフトやセンシング技術の前に、ドローン自体のハードの基本設計内容において、最低限JIS(日本工業規格)が順守されていることを確認し現状把握することが先ではないでしょうか。というのも、ドローンの機体に使われている部品や締結方法に疑問を抱いた経験が少なくないからです。

【テロドローンを捕獲する方法】
ドローンを即座に捕獲する方法には、地上から捕獲対象を目視できる人間によって遠隔操作(ハッキング)して落下させる、ダメージを与えて落下させる方法があるます。落下させる際には落下速度や姿勢についてはできる限り安全な方法を考えなくてはなりません。
また、ドローンの機体にダメージを与える方法については『指向性エネルギー兵器』があげられます。
以下いくつか例をあげます。

◆化学レーザーの開発
1970年代後半に大出力の化学レーザーの開発が兵器応用を裏に秘めて行われた。
Star Wars (SDI: Strategic Defense Initiative)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%88%A6%E7%95%A5%E9%98%B2%E8%A1%9B%E6%A7%8B%E6%83%B31980年代にレーガン大統領が始めた。日本の某研究機関では当時レールガンが開発されていて「SDIをやっていると誤解されませんね」と懸念されていたようだが、最近は実用化が見えてきているようだ。もちろん複数拠点必要で予算制限もあるので移動式になるかもしれない。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%8C%87%E5%90%91%E6%80%A7%E3%82%A8%E3%83%8D%E3%83%AB%E3%82%AE%E3%83%BC%E5%85%B5%E5%99%A8にいろいろ出ており、強力超音波でネズミを殺せるとしている。殺す前に聴力障害とかは低いレベルでも出てきそうだ。要注意(これは、ドローンに搭載されたら危険ということも考えられる。)
http://gigazine.net/news/20150731-railgun-laser-2020/
流れ弾が許容されるなら 散弾銃やライフルのほうが選ばれるだろう。 「撃ち落とし」は落下物が人に当たるリスクが問題。ネット捕獲はその心配がない。 ドローンのリモコン電波や光のジャミング、GPSジャミングとかについては ドローン側で「自律制御」「GPSに依存しない航行制御」ができるので有効とはいえない。

◆捕獲対象ドローンを引き寄せる銃
http://tabi-labo.com/279613/dronegun
非常に期待できる捕獲方法だが、ドローンの航行制御を定型の無線あるいは赤外なりのリモートコントロールでしている場合により、乗っ取るというものであるかもしれない。既成品のまま攻撃されるという前提がどれくらい成立するのか疑問。
複数機が同一場所で運用されることが一般的で、機体とリモートコントロールのあいだでペアリングといった手続きをはじめにしているので、PCを乗っ取るくらいの手立てをしないとドローンも乗っとり出来ないはずではないだろうか。あるいはドローンにウェイポイントが予め仕込まれているとの前提で GPSのにせ信号を与えるのかもしれない。 いずれにせよ前提次第。

まとめとして、テロドローンの捕獲には、生き物(人間)が即座に判断し狙いを定め瞬時に捕獲システムを作動することが望ましいです。
例えば、特殊素材で製作した網で捕獲し、捕獲後は安全な地点に安全な速度で落下させるなどといったシステムが大切であり、現在弊社にて研究開発中です。
次回はテロドローンが複数であった場合について、対策を考察していきます。